本歌取り(自由律俳句)

劣等感で絞りきる檸檬
君に斜陽が突き刺さる
羅生門で交わす口付け
耳に詰め込む瓶詰地獄
風呂場に咲いた黒百合
見て見ぬふりした桜桃
初冬を惑わす或る女
君の嗚咽が滲む蒲団
赤い糸紡ぎゆく少女地獄
新調する予定の人間椅子
雨音儚く奏でる抒情歌
かんざし受け入れぬみだれ髪
帽子の奥のドラコニアの夢
枕に零す銀河鉄道の夜
盃に誑し込む痴人の愛
黒く燃ゆる白衣の外科室
さめざめと泣く女生徒の刺青
眠れる美女は硝子の花園



あとがき
読書会で百人一首の勉強をしています。『本歌取り』について学び、なかなか面白いなぁ!と。本来の本歌取りは別の意味なのですが、好きな本のタイトルから歌を作るという発想のもと生まれた作品です。こうして見ると文豪の作品ってタイトルまで洗練されているんだなぁと。人間椅子の句が人気だったのが「ふふふ…」ってなりました。

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お月見文庫|月見珈詩

やっぱり過去にとらわれてる